自転車事故の場合、自動車事故の場合と異なり、後遺障害の有無及び程度(第1級~第14級)を認定する機関が、(労災事故を除けば)訴訟提起後の裁判所以外にありません。そのため、訴訟提起前の段階では、後遺障害と思われる点については、被害者の側で加害者側に対して、直接、具体的に立証していかなければなりません(→「自転車事故の特殊性について」)。
自動車事故の場合には、資料を揃えて、損害保険料率算出機構の下部組織である自賠責損害調査事務所に提出すれば、同事務所が、医学的な見地から後遺障害の認定をしてもらえますが、自転車事故の場合には、被害者が直接そのような調査をし、加害者が納得できるような立証をしっかりとしなければなりません。そういう意味では、自転車事故で後遺障害を認めてもらうのは、自動車事故よりもハードルが高いといえます。
後遺障害等級を認定してくれる機関はなくとも、認定基準自体は、自転車事故でも同様に適用されます。
この後遺障害が残存しているかの判断は、原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準(労災認定基準)に準じて行うものとされています(「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」)。